アイドルという夢

カメラを向けるカエル
カメラを向けるカエル

私は、都内の進学校に通っていました。高校二年生になるころには、周りの会話も変わってきました。

どこの大学に行きたい、模試の判定がどうだ、英単語長はこれがいい、などなど。みんながそんな話をしているなか、私はもやもやとしていました。
私には、アイドルになりたい、という密かな夢があったからです。きっかけはアニメでした。小さい頃からアニメを両親に規制されてきた私は、中学のとき、友達の家で、初めてアイドルアニメを見たのです。
アイドルを題材としたアニメ作品一覧

そのきらびやかな衣装、はつらつとしたキャラクター、行動力、どれをとっても私と正反対でした。高校二年になり、将来を決める決断のときが、だんだんと近くなってきました。
私は、その現実的な決断をする前に、この一年間をアイドルという夢に費やすことに決めたのです。インターネットで調べると、ことのほかオーディションがたくさんありました。

どれを選んで良いかわからず、とりあえずは自己分析をすることにしました。私の憧れは明るくはつらつとしたアイドルでしたが、その路線では無理だろう、と考えました。メガネの文学少女だったからです。

第一印象は知的で物静かな雰囲気をみせ、ときに明るくすることで、ギャップをみせようと考えました。文学女子系アイドルオーディションというのがあり、これだと思い、受けました。

しかし、結果は散々でした。まず、普通の受け答えができません。さらに、アイドル面接ですので、明るく振る舞わなければなりません。知的で物静かな第一印象、というのは、そもそもアウトでした。

明るい、はアイドルにとって絶対条件だったのです。いくつかオーディションを受け、とにかく明るく振る舞うと、今度は個性がありません。
周りの受験者のほうがよっぽど元気で朗らかなので、明るさ勝負では太刀打ちできませんでした。一年をとおして、唯一最終選考まで残ったのがありました。

これは当初目指していた文学系アイドルのオーディションでした。メガネの淵を太くして、落ち着いた化粧で、かつ明るく、元気に振る舞いました。
最終選考では落ちてしまいましたが、私のなかでは、このときが一番自分を魅力的に仕上げることができたのかな、と思います。
キャラクターどうこうも必要ですが、結果、魅力的かどうか、が決まり手なのかな、と思いました。私は高校三年になり、きっぱりとオーディションを受けるのを辞め、大学受験に向かいました。
オーディションはここが情報多かったです

 後悔はしていません。一年間を通して、自分の長所、短所がわかりましたし、就職活動において、このときの経験がかなり生かされました。
テレビでアイドルを見ると、すごいな、と思うばかりで、あきらめからかもしれませんが、なりたい、と思うことはなくなりました。
オーディション活動を通して出会った、真っすぐな彼女たちとは、どこか自分は違う世界なのかな、と思っていたのかもしれませんし、自分ももっと努力して、頑張ろう、と刺激を受けたのも事実です。
とても良い経験をした一年間だったな、と思います。